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妊娠中の溶連菌感染リスクと治療に関する注意点

妊娠中の溶連菌感染

溶連菌感染症の中の「B型溶血性連鎖球菌(GBS)」は、妊娠中の母親から産道感染した場合、新生児が肺炎、髄膜炎、敗血症などの疾患を引き起こす原因となることがあります(新生児GBS感染症)。

特に髄膜炎は、脳や脊髄の表面を覆っている髄膜に感染して脳炎などを引き起こすため、重大な後遺症が残る可能性もあります。

B型溶血性連鎖球菌(GBS)は、健康な女性の膣内や周辺に存在することがある菌であり、妊婦の20〜30%が保菌者であると言われています。

B型溶血性連鎖球菌(GBS)の保菌者であるかどうかについては、妊娠後期に検査で調べますが、妊娠中に胎児に影響を与えることはありません。

菌が見つかっても母体には影響がないため、特別な治療は行わず、出産を控えた感染者については、抗生剤を服用するとともに出産時に抗生剤を点滴します。
一般的に使用されるのは、アンピシリンというペニシリン系の抗生物質で、ペニシリンにアレルギーのある妊婦の場合は、別の抗生剤が使われます。抗生剤は初回に2g投与し、それ以降は、お産終了まで4時間ごとに1gずつ投与します。

検査が行われるのは妊娠33〜37週で、膣口や肛門周囲を綿棒でこすり、培養して調べます。

検査時にB型溶血性連鎖球菌(GBS)が見つかってたとしても、抗生物質の作用により出産時には菌がなくなっている場合や、検査時には菌が見つからなかったものの、出産時の検査で菌がみつかる場合もあります。

産院の中には、妊娠中のおりもの検査で菌が見つかった際に抗生剤(飲み薬)を処方して経過観察し、その後、出産時に再検査をおこない、菌がまだ存在している場合は、点滴による抗生剤の投与を行う、という方針を採用しているところもあります。

大人の溶連菌感染症の治療法(診断および抗生物質投与)

溶連菌感染症・抗生物質の投与

医療機関で溶連菌感染症であると診断されると、すぐに抗生物質投与による治療が始まります。診断は迅速診断キットを用いて30分程度で終わります。

抗生物質を投与すると、2〜3日かけて熱が下がり、のどの痛みも和らぎます。発疹などの急性期の症状も落ち着き、手先、足先から徐々に皮が剥けて通常の皮膚の状態に戻っていきます。

症状が治まっても、完全に溶連菌が体中からなくなるまでに10日間から2週間程度かかるので、他の人への感染や続発症・合併症を防ぐためにも、医師の指示通り指定された期間は抗生物質を服用しつづけることが大切です。
ちなみに、抗生物質は医療機関で医師の診察を受けなければ処方されないので、疑わしい症状が現れたら必ず医療機関で受診することが大切です。

溶連菌感染時の家庭での対処

家庭では、食事の際に辛いもの・すっぱいものなど、刺激の強いものを摂取することはなるべく避け、のどごしがよく、消化しやすいものを選ぶよう心がけましょう。
うどんやおかゆ、煮野菜、白身魚などがお勧めですが、食欲のない場合はゼリーやヨーグルト、スープなどが適切でしょう。
急性期で喉の痛みが強く、食事がつらい場合は水分だけでも摂るようにします。

症状が改善され、仕事に復帰できる状態になれば、溶連菌が体内に留まっている状態でも仕事に復帰してかまいません。
ただしその場合は、咳やくしゃみなどで他人に感染しないよう気をつけるとともに、処方された抗生物質を医師の指示通りに最後まで服用しつづけることを忘れないようにしましょう。

大人の溶連菌感染症の原因と予防法

大人の溶連菌感染症原因

溶連菌には、人から人へと感染しやすいという特徴があり、大人の溶連菌感染症の主要因として考えられるのは、家庭内での子供からの感染です。

主な感染経路は、菌を含んだ唾液などの飛まつを吸い込むことによる飛まつ感染で、気道や皮膚に感染します。感染力が比較的強い菌であることから、家庭に感染者が出た場合、他の家族に感染している確率はかなり高いと考えておいたほうがよいでしょう。

大人の場合、ほとんどの人が体内に溶連菌に対する抗体を持っており、健康な状態のまま溶連菌の保菌者である人も数多くいます。本人に自覚症状がなくても他人への感染力はもちろんあります。

喉が腫れやすい人や扁桃炎を過去に起こした人は保菌者である可能性が十分高いため、他人への感染が不安であれば検査を受け、それなりの対策をとることをおすすめします。

一度完治しても再び感染する例もあるので、感染を繰り返さないためにも、家族に同じような症状が現れたら、すぐに医療機関で受診するようにしましょう。

大人の溶連菌感染症の治療

溶連菌には、抗生物質が比較的効きやすいという特徴があり、抗生物質を服用すると半日から1日で感染力が激減し、他人へ感染する可能性がなくなります。その後、抗生物質による治療を続ければ、10日間から2週間で体中から菌を取り除くことができます。

ただし、症状が治まった後、血尿、むくみ、頭痛、尿量の減少など、腎炎とみられる症状が現れたときは、溶連菌が原因の急性糸球体腎炎の可能性があるため、すみやかに医師の診察を受ける必要があります。

大人の溶連菌感染症の症状の特徴(咳や発疹・潜伏期間・初期症状など)

溶連菌感染症の特徴

溶連菌感染症の特徴は、のどの痛みと38〜39度に達する発熱です。
この他にも、舌にイチゴの種のような発疹ができたり(「イチゴ舌」)、体中に小さな赤い発疹ができたり、首すじのリンパ腺が腫れたりする場合もあります。頭痛や腹痛がみられる例もありますが、風邪のように咳や鼻水が症状として現れることはほとんどありません。

大人の場合、子供に比べて溶連菌に対する免疫があるため、症状は子供より軽くなる傾向があります。


溶連菌感染によって起こる疾患とその症状について、以下にまとめてみました。
  • 咽頭炎:発熱とともに口の中やのどが腫れて痛む病気。
  • 扁桃炎:咽頭炎と同じ症状に加えて扁桃腺が腫れ、膿がたまることもあります。
  • 猩紅熱(しょうこうねつ):咽頭炎の症状に加えて舌が赤く腫れ、イチゴのようなブツブツができます(イチゴ舌)。
  • リウマチ熱:全身の関節が痛む病気。心臓病の原因となる場合もあります。
  • 急性糸球体腎炎:倦怠感、尿の量の減少・血尿・蛋白尿、血圧の上昇などが見られる病気で、溶連菌感染症が治ってから数週間後に起こることがあります。入院して安静にしていれば回復し、後遺症などが残ることもありません。
  • 飛び火:溶連菌が皮膚に感染すると、皮膚が化膿する飛び火の原因となることがあります。

溶連菌感染症の潜伏期間

溶連菌感染症の潜伏期間は2-4日間です。
感染した可能性がある場合は、医療機関でのどに付着している細菌を採取して検査を行います。
検査時間は10分程度で、溶連菌に感染していることがわかれば抗生物質や対症療法のための薬が処方されます。

溶血連鎖球菌とは?-α溶血性・β溶血性・γ溶血性による分類

溶血連鎖球菌とは

溶血連鎖球菌(溶連菌)は、溶血反応(血液をまぜた培地で培養すると菌の周りが無色となる)を示す点、鎖のように球状の菌体が連なっている点に基づいて名づけられた細菌の一種です。
培養は、血液寒天培地で20〜24時間、5%炭酸ガスの条件で行います。

溶血連鎖球菌には、体にほとんど影響を与えないタイプから病原性の強いタイプまであり、α溶血性・β溶血性・γ溶血性の3種に大別されます。

人間の感染症の原因となる溶血連鎖球菌は、β溶血性連鎖球菌の中の「A群溶血連鎖球菌(GAS)」「B群溶血性連鎖球菌(GBS)」「C・G群溶血性連鎖球菌(SDSE)」の3種類になります。

A群溶血連鎖球菌


溶連菌感染症の原因の90%以上となるのがA群溶血連鎖球菌」で、子供がかかりやすい「溶連菌感染症」は、一般的に、このA群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性連鎖球菌)による感染症を指します。
「溶連菌感染症」は主に喉に感染するため、喉の痛みが特徴で、咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱(小さく赤い発疹を伴う)などの症状を引き起こします。

B型溶血性連鎖球菌

一方、B型溶血性連鎖球菌は、女性の膣内に常在する場合がある細菌で、出産時に感染していると新生児の敗血症、髄膜炎、肝炎などを引き起こすことがあります。
妊婦以外では、膀胱炎などの尿路感染症などの原因にもなります。


α溶血性の代表格は、肺炎球菌や緑色連鎖球菌などで、γ溶血性連鎖球菌は口腔内に常在し、歯性感染症や化膿性リンパ節炎などを引き起こします。ただし、γ溶血性連鎖球菌には、深刻な病気の原因となる菌はありません。

ちなみに、上述した「溶連菌感染症」とは、A群溶血連鎖球菌による感染症を指しています。
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